探していた廃医院の所在地が判明し、私は早速四国を訪れた。
道路凍結の危険性を考えると、バイクでの探索は年内最後である。
長閑な風景
恋焦がれていた念願の廃医院を、漸くこの目で拝む事が出来た。
九州とは違い、四国は兎に角寒い。バイクで訪れた事を非常に後悔している。
私好みの受付。ごちゃごちゃした感じが素晴らしい。
受付の裏側は物色された形跡がある。
薬剤や薬品で床が埋め尽くされ、足の踏み場も無い。
こじんまりとした診察室。耳障りな音を立てる椅子が良い。
カレンダーは平成7年から捲られていない。この頃に閉院したのだろうか。
民家も疎らな山間の廃医院だが、最新の設備が揃っていたようだ。
物置と化した病室は、荷物の重みで床が抜けている。
無造作に置かれた謎の液浸標本。
人間の内臓だろうか。グロテスク極まりない。
古い滅菌槽
「滅菌槽の廃医院」の名の由来となった古い滅菌槽。鈍く光る姿が堪らない。
何故かレントゲン写真が吊るされている。
外観からは想像も付かなかったが、しっかりとしたタイル張りの手術室が備えられている。
手術器具などを消毒するための、煮沸消毒器が残っている。古い廃医院で頻繁に目にするものだ。
帰り際に、近くに住むお年寄りと立ち話になった。
先生は既に亡くなり、息子が県内の別の場所で医院を経営していることや、幼少時代を過ごした建物は思い入れがあり、取り壊せずにいることなどを教えてくれた。
見向きもされなくなった廃墟にも、様々な物語や思い出が存在する。自然に任せるまま、共に朽ちていくことを願うばかりだ。
廃墟評価
廃墟退廃美 | B |
到達難易度 | C |
廃墟残留物 | A |
崩壊危険度 | B |
廃墟化年数 | B |
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