昭和22年開院の産婦人科の廃医院。先生は軍医として、戦地へ赴いたこともある経験豊富な医者であった。
新館と旧館と呼ばれる2棟の病棟が存在し、旧館に残る特徴的な形の保育器がアンドロイドのキャラクターに似ていることから、廃墟マニアからは親しみを込めて「ドロイド医院」と呼ばれている。
新館
古い門を潜ると左手に新館、右手に旧館が見える。手付かずの庭は、木々が伸び放題である。
まずは新館へ。コンクリートの手洗い場がある。ステンレスではないところに時代を感じる。
数字が描かれた下駄箱。ボールを投げたくなるようなデザインだ。
薄暗い病室に落ちていたポスター。可愛らしい赤ちゃんも、薄暗い廃医院で目にすると不気味だ。
「静養室」と書かれたプレートが落ちている。
古市産婦人科で一番有名な分娩室、もしくは手術室のような部屋。小さな無影灯は、廃墟マニアにはお馴染みの光景だ。
ここは初めて訪れた廃医院で、私は非常に思い入れがある。写真で何度も目にした光景が、目の前に広がっている。この感動は忘れられない。
まるで廃校のような階段が美しい。板が軋む音も心地良い。
新館は入院病棟の役割を担っていたと考えられる。病床数は18床。
それにしても隣のベッドとの間隔が近い。パーソナルスペースなどお構いなしだ。
ドロイド君
廊下に残る保育器。確かに、アンドロイドのマスコットキャラクターに良く似ている。眺めていると愛着が湧いてきそうだ。
新生児室には、目を見開いたドロイド君2号が待っていた。
旧館
旧館と呼ばれる建物へとやって来た。やはり、こちらの建物は年季が入っている。
出入り口が厳重に封鎖されている。待合室の長椅子は、私が好きな残留物の一つだ。
新生児用の体重計。産婦人科の廃医院で、頻繁に目にするものだ。
崩れた天井から光が差し込み、古い分娩台を照らしている。多くの新しい生命が、ここで誕生したのだろう。
耳を凝らすと、カサカサと足高蜘蛛が蠢く音が聞こえる。蜘蛛が苦手な私には地獄のような環境だ。そんな劣悪な環境を差し引いても、この分娩室の美しさには惚れ惚れしてしまう。
廃墟評価
廃墟退廃美 | A |
到達難易度 | C |
廃墟残留物 | A |
崩壊危険度 | B |
廃墟化年数 | A |
廃墟評価の詳細はこちら。