土砂降りの中、以前から気になっていた廃医院を目指し、閑静な住宅街の一角を訪れた。
人目が気になる立地だが、頼もしい雨が私の存在を掻き消してくれる。
満身創痍

診療時間の「午后」という表記は、現在ではあまり見られない表記である。
絵に描いたような廃医院の外観をしているため、近隣住民は嘸かし迷惑しているに違いない。

院内は私の想像以上に朽ちている。

私は古い木造の廃医院が大好物である。
朽ち方次第では、近代的な造りの廃医院も悪くない。

撮影に時間を掛けたいところだが、院内の空気が非常に悪い。
あまり長居はしたくないというのが、正直な感想である。

こうしている間にも、黴やアスベストが私の体を蝕んでいく。

剥落した天井の資材が散乱し、院内は足の踏み場も無い。

X線室内には、漆黒の闇が広がっている。

足元に注意しつつ、ぶら下がる角材で目を突かないよう注意が必要である。

美しく朽ちた廃医院を前に、胸の高鳴りを抑えることが出来ない。

一通り見終えたため、危険な階段を上り手術室を目指す。

コンクリートの天井が派手に崩落している。
タイミングが悪ければ、崩落に巻き込まれていたかもしれないと考えると恐ろしい。

雨漏りが酷く、泥濘んだ床は非常に滑る。
転倒だけは何としても避けたいところである。

伽藍堂の病室は、植物が育ち易い環境が整っているようだ。

この病室は日当たりが良いのだろうか。どの病室よりも植物が生い茂っている。
巨大な無影灯

愈々、目当ての手術室へ。
圧倒的な存在感を放つ無影灯は、写真で見るよりも一回りほど大きく感じる。

感動のあまりシャッターを切ることを忘れ、暫くの間無影灯を眺めていた。

記録のため廃墟を撮影しているが、カメラを持たずに純粋に廃墟を楽しみたいと思うことがある。撮影をしていると、気付けば時間が足りなくなるからである。
かと言ってカメラマンを帯同させて撮影した写真では、私は満足することが出来ない。「私がもう一人居て、役割を分担出来たらいいのに」などと、下らないことを考えていた一日であった。
廃墟評価
| 廃墟退廃美 | S |
| 到達難易度 | C |
| 廃墟残置物 | C |
| 崩壊危険度 | A |
| 廃墟化年数 | B |
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