廃医院の情報を手に入れ、閑静な住宅街の一角を訪れた。早朝だというのに、隣接する河川敷のテニスコートでは既に朝練が始まっている。
日本全国に残る廃医院の中でも、眼科の廃医院は数が少なく珍しい。
詳細不明
廃墟としては比較的新しく見えるものの、ネット検索に引っかからないため、名称と診療科目以外は何も分からない。期待が高まる反面、緊張感がある。
未開封の郵便で溢れ返った受付。静まり返った院内に、心地良いテニスの打球音が響いてくる。
古い廃医院ばかり訪れているため、近代的なデザインが新鮮だ。
パンフレットのモデルに時代を感じる。目が悪い私は、普段からコンタクトレンズの世話になっている。
万物を見通す目
診察室に入ると熱い視線を感じ、直ぐに目が合った。1ドル紙幣に描かれた「プロビデンスの目」を彷彿とさせる目だ。
プロビデンスとはキリスト教の摂理を意味し、神の目が全てを見通すことを示している。こんなものに見られていては、廃墟探索が非常にやりにくい。
他の診療科目の廃医院では、目にしたことが無い変わった椅子。椅子の上には、視力検査の際に目を覆う「遮眼子」が置かれている。
タイマーとベルのようなものが付いた謎の医療機器。素人目には用途が分からない。
数は控えめだが、薬瓶が残っている。
薬棚の中は空っぽだ。
物心付いた時から目が悪い私は、子供の頃眼鏡を掛けていた。コンタクトレンズを初めて装着した時の、クリアな視界の広さには驚き感動したものだ。
黒板が残る謎の部屋。朽ち具合が素晴らしい。
黒板が錆びることを知ったのは、廃墟に行き始めてからである。
2つの無影灯と手術顕微鏡が残る手術室。目の手術は、非常に繊細で正確な技術が要求される。
廃墟としての美しさはこれといって無かったが、興味深い眼科の残留物の数々に、終始心が躍りっぱなしであった。
廃墟評価
廃墟退廃美 | B |
到達難易度 | C |
廃墟残留物 | A |
崩壊危険度 | C |
廃墟化年数 | C |
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