轟發電所は、四国の深い山奥に位置する廃発電所である。
廃発電所は渡河の必要があったり、他の廃墟に比べ到達が困難なものが多い。しかし轟發電所は山奥に位置するにも拘らず、車を目の前に停めることが出来る。言わば気軽に行ける廃発電所なのだ。
お手軽廃発電所
車を降りると轟發電所が見える。スマホは圏外のため、慎重な行動が求められる。
周辺には蝮が生息している。噛まれると洒落にならない。
敷地内には、当時の社宅の基礎が幾つか残っている。
轟發電所は安喜水力電気株式会社が管理する発電所として、昭和9年に竣工した。あまり知られていない分、落書きなどの荒らされた様子は無い。
庇には「轟發電所」の文字。「発」の字が旧字体※1になっており、ポイントが高い。
光の芸術
ここを訪れるなら晴れの日が良い。窓から差し込む光がとにかく美しいからだ。
塞がれてはいるが、廃発電所特有の足元の穴には注意が必要である。
当時の窓ガラスが僅かに残っている。国内屈指の美しさを誇る廃発電所「和賀川発電所」を小さくしたような感じだ。負けず劣らずこちらも美しい。
数少ない当時の残留物。錆も少なく保存状態は良い。
上へと登ることが出来る梯子を発見した。高い位置で撮影出来れば更に良い写真が撮れるはずだが、万が一のことを考え今回は思い止まることにした。
どこを切り取っても美しい。広さが丁度良く、飽きることもない。目の前を流れる川のせせらぎも心地良い。
特にお気に入りの場所は、美しい光が差す端の部分。青々とした緑も良いが、秋の紅葉も見てみたい。
事前情報が少なく期待をしていなかった分、良い意味で期待を裏切られた廃発電所であった。
廃墟評価
廃墟退廃美 | S |
到達難易度 | B |
廃墟残留物 | C |
崩壊危険度 | B |
廃墟化年数 | S |
廃墟評価の詳細はこちら。
脚注
※1^ 当用漢字表告知以前に使用されていた漢字。「學」「醫」「號」など。