千歳樓

千歳樓ちとせろうは愛知県春日井市かすがいし、玉野川渓谷沿いに位置する廃旅館である。

心霊スポットとして広く知られ、愛知県民でその名を知らない者は居ない。

不審火と白骨化遺体

最寄り駅の定光寺じょうこうじ駅から歩いて1分。目の前を流れる川に架かる橋から全貌ぜんぼうを見渡すことが出来る。営業当時は、四季折々しきおりおりの風景が楽しめる「名古屋の奥座敷おくざしき」として多くの宿泊客を集めた。

廃墟となってからは幾度となく不審火に見舞われ、人為的な破壊行為によって荒廃が進んだ。平成24年2012には身元不明の白骨化した遺体が発見され、その名を全国に轟とどろかせた。

最盛期さいせいきの年商は10億円を記録し、順風満帆に思えた千歳樓であったが徐々に客足が遠のき始めた。影響を受けた付近一帯の旅館は、閉業が相次あいついだ。

一説によると、モータリゼーション^※1の波に乗って、飛騨ひだや信州方面に人が流れたことが衰退の原因だと言われている。

平成15年2003、6億円もの負債を抱えた千歳樓は倒産した。

周辺を安全鋼板で囲かこまれ、数台の監視カメラが目を光らせている。廃墟としての旬は既に過ぎ去り、無理矢理入ったとしても痛い目を見ることは確実だ。

所有者が失踪し、連絡が取れないため建物の解体もままならない。かつて栄華えいがを極めた名古屋の奥座敷は、厳しい監視下に置かれながら痛々しい姿を晒さらし続ける他ほか無いのだ。

廃墟評価

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脚注

※1^　自動車が広く普及し、生活必需品化する現象のこと。