長崎県中部の西彼杵半島西方沖に位置する崎戸島。五島灘に面し、古くから捕鯨の島として栄えてきた。
昭和46年に崎戸島と蛎浦島を結ぶ橋が開通し、車でのアクセスも容易となった。都会の喧騒を離れ、穏やかな時間を過ごすには打って付けの島である。
北緯33度線展望台

崎戸島の最西端に位置する北緯33度線展望台。
駐車場から少し歩いただけで、汗が滝のように噴き出してくる。

展望台には、フォトフレーム型のモニュメントがある。
晴れたり曇ったり、今日は天気の移り変わりが激しい。晴れていれば、見渡す限りの絶景を楽しむことができるだろう。

展望台の真横に佇む、植物に覆われた異様な雰囲気の廃墟。
崎戸島を訪れた理由は観光ではなく、この崎戸島特設見張所聴音所が目当てである。

聴音所に関する解説の看板がある。
この建物は、旧日本海軍佐世保鎮守府の特設見張所の中の聴音所として昭和13年(1938年)に建築され、終戦までの7年間、海底のスクリュー音等をキャッチするための施設でした。
二度とあのような悲惨な戦争の起こることのないよう、後世に残すため保存しています。
崎戸町の郷土史によると、昭和13年5月5日に施行された国家総動員法の下、島民たちは島の最西端まで資材運搬の奉仕作業に動員されたという。

廃墟や戦争遺構に興味のない者は、解説が無ければ恐怖を感じてしまうかもしれない。
終戦後も兵舎やポンプ室、電源所などが残っていたが、展望台の整備に伴い、現存する遺構以外は全て解体されている。

中は蛻の殻である。戦時中は傍受するための聴音機や、探照灯※1が設置されていた。

至る所に、壁を削って書いた稚拙な落書きが見受けられる。
嘗て戦争をしていたという歴史の重みを、理解出来ていないのだろうか。

晴れ間を見計らい、もう一度展望台へ。先程とは打って変わって、空と海が溶け合うような素晴らしい景色が広がっている。
展望台と戦争遺構という、全く雰囲気の異なる施設が隣り合う不思議な場所。崎戸島特設見張所聴音所は、当時と変わらぬ潮風を受けながら、悲惨な過去の過ちを後世へ伝え続けている。
廃墟評価
| 廃墟退廃美 | – |
| 到達難易度 | C |
| 廃墟残留物 | C |
| 崩壊危険度 | C |
| 廃墟化年数 | S |
廃墟評価の詳細はこちら。
脚注
※1^ 所謂サーチライトのこと。