仙崎砲台は、大分県佐伯市の仙崎つつじ公園内に位置する戦争遺構である。
豊予海峡の防備を目的とし、昭和14年に着工築造された。
仙崎つつじ公園
仙崎つつじ公園は、仙崎山の頂上付近に位置する。所要時間は、西野浦集落から車で15分ほどだ。
しかし、残り3km地点からは、離合が困難なガードレールの無い酷道が続く。落石が非常に多く、バイクでも注意が必要である。
矢印に従い、公園内の道を進んでいく。
歩道や階段は整備されているものの、管理されている様子はない。足元には十分注意が必要である。
3基の砲台
鬱蒼とした歩道を暫く歩いていくと、急に視界が開ける場所に出る。ここが仙崎砲台である。
階段の横に小部屋がある。中へ入ってみよう。
地下へと続く竪穴が金網で塞がれている。これは揚弾井※1だろうか。
砲台に案内板が設置されている。
仙崎砲台は、佐伯海軍防備隊の前線基地として、昭和14年に着工築造された。
砲台には、砲塔が3基、岬側から第一、第二、第三砲台を呼称した。30cm カノン砲が装備されていたともいわれるが、実見した人の話、残っている砲弾などから、15cm カノン砲、もしくは旧式の15cm 臼砲と推測されている。
旧軍部は、日本各地の海峡に砲台を築き、敵潜水艦の侵入に備えた。豊予海峡一帯の砲台は、豊予要塞司令部(陸軍)に属したが、仙崎砲台は唯一旧海軍が保有した特異な砲台となっている。
岬の突端には、防備衛所があり、水中聴音機で海峡に侵入する敵潜水艦を探知した。
はっきりとはしていないが、15cmカノン砲が設置されていた説が濃厚である。
砲座を囲むように即弾室※2が並んでいる。砲台というよりは、まるで小さな闘技場のようだ。
全ての砲台から豊予海峡が見渡せる。当時はカノン砲が海を睨んでいたはずだ。
やたらと雀蜂が飛び交っている。近くに巣があるかもしれないと思い探してみると、巨大な蜂の巣がぶら下がっていた。
一歩間違えると、刺されていてもおかしく無い。
見渡す限りの水平線。霞んでいなければ、愛媛県が見えるだろう。
春になると仙崎砲台周辺には、躑躅が咲き乱れる。岬の突端に残っているかもしれない防備衛所も、いつの日か訪れたい。
廃墟評価
廃墟退廃美 | A |
到達難易度 | A |
廃墟残留物 | B |
崩壊危険度 | B |
廃墟化年数 | S |
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脚注
※1^ 滑車やベルトコンベアを用いて、弾薬庫から砲座へ砲弾を供給するための装置。
※2^ 砲台や堡塁に設けられる砲弾の保管場所。これにより、戦闘時の迅速な砲弾の充填が可能となる。