砂子又小中学校は、青森県東通村に位置する廃校である。
東通村は少子化による生徒数減少に伴い、平成17年から平成21年にかけて、村内全ての16校もの小学校を1校へと統合した※1。そのため、村内には多くの廃校が溢れ返っている。
錆びた屋根
創立は明治12年と大変長い歴史を持ち、現在の校舎は昭和27年に建てられたものである。
長年の雨や雪によって屋根は錆び付き、外壁は傷んでいる。積雪によって倒壊する校舎がある中、砂子又小中学校の校舎はしっかりと原形を保っている。
校舎内は非常に薄暗い。廊下の軋む音と足音が響いている。
前日まで雨が降っていたが、廃校の訪問に合わせるように晴れてくれた。きっと誰かが作った、てるてる坊主のおかげだろう。
東北地方の廃校では割と見られるが、廊下と講堂が直接繋がる造りは、私自身あまり馴染みが無い。
講堂の床が腐り、貼られていたビニールテープが浮いている。
砂子又小中学校は、青森県で最初に足を運ぶ廃校と決めていた。理由は後述する。
眠る人体模型
黴臭い保健室で眠りにつく人体模型。何度も写真で見た光景が、目の前に広がっている。
テレビで見る大好きな有名人にようやく会えた。今の私はそんな気持ちだ。
人体模型のパーツが、窓際で日向ぼっこをしている。
砂子又小中学校への訪問を、焦っていたのには理由がある。統合によって誕生した多くの廃校は老朽化が進み、景観の悪化や安全性の低下を齎していた。そこで、東通村は「東通村廃校舎等解体事業計画」※2を策定し、廃校を含めた廃墟の解体を進めていたのだ。
帰り際に見かけた、ありきたりな黒板のメッセージが妙に心に染みたのは、これが最初で最後の訪問になると察していたからだろう。更地となった校舎の写真を、こうして見返していると目頭が熱くなる。
さようなら、砂子又小中学校。
廃墟評価
廃墟退廃美 | A |
到達難易度 | C |
廃墟残留物 | B |
崩壊危険度 | B |
廃墟化年数 | C |
廃墟評価の詳細はこちら。
脚注
※1^ 大利・目名・石持・鹿橋・蒲野沢・入口・野牛・岩屋・田屋・石上・砂子又・尻屋・尻労・小田野沢・老部・白糠の16校を統合し、東通小学校が開校した。
※2^ 【東通村廃校舎等解体事業計画-東通村】
http://www.vill.higashidoori.lg.jp/machisei/page000036.html