古き良き町並みが残るとある町。
車を停め歩いていると、素敵な雰囲気の門柱を見つけた。
陰鬱な天気でも積極的に出歩けば、良いことがあるものだ。
目を引く門柱とアーチ
通りを歩いていると目に飛び込んでくる赤煉瓦の門柱。植物をあしらったアーチがたまらない。
奥に気になる下見板張りの建物が見える。
「鈴木回春堂醫院」と書かれた表札。旧字が使用されており、古い時代に開業した医院だったようだ。
遠目から先ほどの建物を眺めてみる。当時からこの青色だったのだろうか。古い建物にしては非常に珍しい。
近づいてみると、母屋の軒下でおじいさんが犬と戯れている。
「少しだけお話をお伺いしたいのですが」と声を掛けると「とりあえず座れ」とよく冷えた缶コーヒーを手渡され、建物を眺めながら一緒に飲むことになった。
話を伺うと、古い建物は約30年前に閉院した眼科の廃医院であった。おじいさんが現在建物を管理しており、おじいさんの父と祖父が2代に亘り診療を行っていた。
当時この辺りは、塩素消毒のプールがまだ無かった時代。近くの川で泳ぎ、目を真っ赤にした患者がよく訪れていたという。
物置と化した廃医院
廃医院の中の写真を撮らせて貰えないかとお願いすると「中は何もねえだよ」と言いつつ、快く許可を頂いた。
言われた通り物置のようになっていたが、当時の雰囲気を感じることが出来る。
古い廃医院の受付でよく見かけるプレート。静岡県医師会のものは初めて見る。
診察室は資材や発泡スチロールで埋め尽くされている。床の市松模様に医院の名残を感じる。
この辺りはレントゲン室だろうか。おじいさんが、壁にはX線を遮蔽するための鉛の板が入っていると教えてくれた。
薬品室には大きな薬棚だけが残っていた。薬品類は、業者を呼んで全て処分してしまったとのこと。残っていれば画になっただろう。
薬棚には「普通薬」と書かれたラベルと空き瓶が残っていた。
おじいさんの言う通り残留物は殆ど無かったものの、当時の話を伺いながら廃医院を見て回れたことは貴重な体験であった。
廃墟評価
廃墟退廃美 | B |
到達難易度 | C |
廃墟残留物 | C |
崩壊危険度 | C |
廃墟化年数 | B |
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