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吹き抜けになった廃医院

医籍録で廃医院を探していると、何やら怪しい廃墟を発見した。

航空写真やストリートビューで確認をしてみたが、いまいち廃医院である確証が持てずに、私は悶々もんもんとした日々を送っていた。

廃医院か否か

「解体されるかもしれない」という思いを原動力に、現地へ足を運んだ。

廃医院かいなか。この高揚感も廃墟探しの醍醐味だいごみである。

生活保護指定診療所

古びた門を見てみると、医院であることを示すプレートが残っていた。これで廃医院であることが確定し、私は小さくガッツポーズをした。

敷地は広いが残っている建物は少ない。残っている建物も著しく崩壊が進んでいる。

医籍録によると、開業は大正15年1926。女医が診療を行う産婦人科の医院であった。残留物にも期待が持てそうだ。

中は見た目以上に崩壊が進み、2階から家具が降ってきている。

1階には医院の面影が全く残っていない。当たりと思いきや、これは外れかもしれない。

階段箪笥

これは階段箪笥たんすと呼ばれるもので、その名の通り階段であり箪笥でもある。

アンティーク家具として非常に人気があり、私も喉から手が出る程欲しい。

危険な2階

階段箪笥を上って恐る恐る2階へ。いつ倒壊してもおかしくない危険な状況に足がすくむ。

百味箪笥

ここで初めて医院の面影を発見した。

これは漢方薬に使用する生薬を保存するための容器で、小さな引き出しに100種類以上もの生薬を保存出来ることから、百味ひゃくみ箪笥と呼ばれている。滅多に見ることが出来ない貴重な代物しろものである。

昭和46年1971の保険診療に関する注意書きが落ちている。50年以上の年月が経過し、汚れているが何となく読める。

2階の反対側へ。非常に暗いため、足裏に神経を集中させ床を踏み抜かないよう細心の注意を払う。

私の好きな薬瓶がしっかり残っている。これは大当たりで間違い無い。

診察台

奥に診察台のような物が見える。しかし、床の状態が酷いため近付くことが出来ない。

グリセリン

グリセリンの瓶が落ちている。主に湿潤しつじゅん粘滑ねんかつ剤として調剤に用いられるものだ。

置物

この置物は他の古い廃医院でも見かけたことがある。当時流行はやっていた物だろうか。

2階を歩いている間は踏み抜きの恐怖から、終始気を休める暇が無かった。この幼い兄妹きょうだいのように、私も怯えた表情をしていたに違いない。

廃墟評価

廃墟退廃美B
到達難易度C
廃墟残留物S
崩壊危険度S
廃墟化年数A

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