ファミリースクールふれあい│廃景

「夕張ゆうばりメロン」の名で広く知られる夕張市は、全国で唯一ゆいいつの財政破綻した町である。約350億円もの市債しさいを抱えた町^※1は活気を失い、宛さながらゴーストタウンのような様相ようそうを呈ていしている。

至る所に廃墟が点在する夕張の町は、私が北海道を訪れるにあたって、行き先から絶対に外せない地であった。

旭小学校

ファミリースクールふれあいは、昭和58年1983に閉校となった旭あさひ小学校の校舎を活用した宿泊施設であった。夕張の廃墟と言えば、ここを思い浮かべる者も多いだろう。

夕張第二小学校の跡地に建てられた旭小学校は、丁未ていみ小学校と福住ふくずみ小学校の統合により開校した。体育館は夕張第二小学校のものをそのまま使用している。

元々は小学校ということもあり、随所ずいしょに校舎の面影が残る。当時はこの辺りに下駄箱があり、児童が楽しそうに登校していたはずだ。

破壊の限りを尽くされた校舎は、無残な姿を晒さらしている。

案内図によると宿泊室は全部で19室。他にも浴場や食堂、研修室を備えていた。

3階建ての校舎を丸々活用しているため、宿泊施設としての規模は大きい。

埃だらけの食堂は非常に空気が悪い。

寄せ書きが掛かれた色紙を見る限り、ファミリースクールふれあいは子供たちに好評だったようだ。

天井の蛍光灯や窓が、校舎の面影を色濃く残している。

便器が殆ほとんど叩き割られているが、一番奥の便器は何故か無事だ。

割られた窓ガラス、壁に描かれたグラフィティ、毟られた剥製。個人的な恨みでもあるのかと思う程、至る所が荒らされている。

無機質な空間に赤いカーテンがよく映える。

畳張りになった教室。何処へ行っても蝦夷鹿えぞしかの糞が落ちており、鉢合わせしそうで怖い。

隙間風でカーテンが揺れている。ファミリースクールふれあいで、一番のお気に入りの場所だ。

天井から滴したたる水で、ピアノがずぶ濡れになっている。冬になるとピアノ全体が凍り付き、非常に美しい姿を見せてくれる。

北海道の豪雪ごうせつの重みに耐えられず、巨大な体育館が倒壊している。この状態で流石さすがに進む勇気は無い。

「ようこそ夕張へ」と書かれた横断幕は、廃墟マニアの間で非常に有名であった。

廊下を歩いていると、目の前に巨大なモンスターが現れた。訪問者を驚かせるために、引っ張り出してきたのだろう。首が捥もげているが、元々は胡獱とどの剥製だったようだ。

私にとって夕張はメロンよりも廃墟のイメージが強い。町に点在する廃墟が、財政再生の鍵にならないかと淡い期待を抱いている。

廃墟評価の詳細はこちら。

※1^　【北海道夕張市ホームページ-借金時計】
https://www.city.yubari.lg.jp/syakintokei/index.html