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鹿忍グリーンファーム

鹿忍かしのグリーンファームは、岡山県瀬戸内せとうち市に位置する廃リゾート施設である。

開業は昭和54年1979頃。バンガロー、プール、テニスコート、ゴルフ練習場が設けられていた。閉業後に辺り一帯が冠水し、水没した複数のバンガローがたたずむ奇妙な光景が広がっている。

鹿忍塩田

鹿忍グリーンファーム

鬱蒼うっそうとした看板から、かろうじて「グリーンファーム」の文字が読み取れる。

鹿忍グリーンファームは、通称「牛窓うしまどの水没ペンション村」と呼ばれ、テレビ番組で取り上げられたことを皮切りに一躍いちやく有名となった。

水面から顔を出す徐行の標識。奥に向かって道路が伸びていたことがうかがえる。

水が腐っているのか、風下かざしもにいると鼻をく強烈な悪臭が漂ってくる。

バンガロー

ドローンを飛ばしてみると、水没したバンガローの姿がよく見える。まるで洪水で冠水した町並みを、ニュース映像で見ているかのようだ。

元々、鹿忍グリーンファームが位置する地区は「鹿忍塩田えんでん」と呼ばれる塩田で、古くから上質な塩が採れることで知られていた。宝永6年1709には、すでに大塩田が存在していた記録が残っている。

気候や地形が製塩に適している瀬戸内海沿岸部は、江戸時代以降も日本の製塩業を支え続けた。しかし昭和34年1959、近隣の錦海湾きんかいわんに最新式の大塩田が造られ、鹿忍塩田は役目を終えた。

更に昭和46年1971には「イオン交換膜法まくほう」という画期的な製塩法が実用化され、上質な塩を効率良く生産できるようになり、全国の塩田は全て閉鎖となった。

堤防付近に建てられたバンガローは、唯一ゆいいつ水没をまぬかれている。

全国に残された塩田跡地は、後に様々な用途に転用された。その転用事例の一つとして、鹿忍塩田跡地には鹿忍グリーンファームが造られたという訳だ。

立ち枯れた木々に、水鳥が営巣えいそうしている。天敵のいない鹿忍グリーンファームは、水鳥の楽園と化している。

鹿忍塩田は、潮の満ち引きを利用して海水を引き込む「入浜いりはま式塩田」であったため、海抜が満潮時よりも低くなっており、排水をしない限りは雨水が溜まり続ける。

鹿忍グリーンファームでは、溜まった雨水をポンプで排水していた。閉業後しばらく経ってから排水機能が停止し、平成26年2014に施設の殆どが水没した。

水鳥の糞害ふんがい、悪臭、虫の発生などが問題となり、住宅街に隣接する鹿忍グリーンファームはみ嫌われている。行政にも問題は認知されているが、地権者が話し合いに応じないため、近隣住民は頭を悩ませている。

上質な塩で名をせた鹿忍塩田は、用途と名を変え廃墟として再び知られるようになったが、問題は山積みのままである。

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