凸凹の砂利道を、揺られながら車で進んでいく。この先で工事でもしているのか、頻繁に工事車両と擦れ違う。
「解体」の二文字が頭を過ったその時、グーグルマップのナビ音声が目的地への到着を告げた。
小さな校舎

事前に廃校だと知らなければ、きっと通り過ぎてしまうだろう。この小さな校舎が正しく、関内小学校志門気分校である。
昭和39年に現校舎が完成し、11年後の昭和50年に閉校。教室は一つだけの小さな分校であった。

玄関が厳重に封鎖されていたため、迂回して玄関の裏側へとやって来た。

空白のままの月行事予定表。今後も予定が書き込まれることは無い。
たった一つだけの教室

辺鄙な場所にも拘らず、廃墟マニア以外の訪問者も多いようだ。何故か廃医院でよく目にする椅子が朽ちている。

教室の中央には苔生した机と椅子。給食の時間のような光景が、ふと子供の頃の思い出を蘇らせる。
初めて訪れた北の大地で、こんなにも懐かしい気持ちになるとは思いもしなかった。

移動教室も無い小さな分校。全ての授業がこの教室で行われていたようだ。

中央からはぐれた机と椅子。色褪せた廃墟の世界に水色のカーテンが彩りを添えている。小さな廃校の教室には、廃墟の魅力がギュッと詰まっている。

何となく、これが最初で最後の訪問になると感じていた。嫌な予感は的中し、その後廃校は更地と化した。
解体の報せを聞いても、不思議と悔いは無い。それだけ充実した時間を過ごせたということなのだろう。
廃墟評価
廃墟退廃美 | S |
到達難易度 | C |
廃墟残留物 | B |
崩壊危険度 | A |
廃墟化年数 | A |
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