タウシュベツ川橋梁は、かつて帯広駅から十勝三股駅間を結んでいた、廃線となった士幌線のアーチ橋である。
北海道の地名の約8割がアイヌ語に由来し、タウシュベツは「樺皮が採れる木の川」を意味するアイヌ語「tat-ni-pet」を語源とする。
幻の橋
タウシュベツ川橋梁が位置する糠平湖は、ダム湖のため季節によって水位が大幅に変化する。
水位が減少する冬から春にかけて姿を現し、夏から秋にかけて徐々に水没していく。その姿から、タウシュベツ川橋梁は「幻の橋」とも呼ばれている。
タウシュベツ川橋梁は、水位の変化で見え隠れするその性質上、風化が非常に激しく、崩壊が危ぶまれている。
令和5年に入り、アーチ部分の大規模な崩落が3箇所確認された※1。11連アーチが繋がっている姿は、残り数年で見られなくなる可能性が高い。
タウシュベツ川橋梁へ続く林道は、一般車両の立ち入りが禁じられている。
間近で眺めるためには「NPOひがし大雪自然ガイドセンター」が実施するアーチ橋見学ツアー※2に参加しなければならない。急遽訪れた私は、ツアーに参加する時間の余裕が無く、ドローンで撮影した映像を眺める他なかった。
ツアーが組まれるほど観光客に人気のタウシュベツ川橋梁だが、立地の悪さから保存措置は行われていない。静かに見守られ、自然に身を任せるまま朽ちていく。廃墟の理想的な最期だと言える。
廃墟評価
廃墟退廃美 | S |
到達難易度 | A |
廃墟残留物 | – |
崩壊危険度 | S |
廃墟化年数 | S |
廃墟評価の詳細はこちら。
脚注
※1^ 【朝日新聞デジタル-タウシュベツ川橋梁の壁3カ所が崩壊】
“橋に今春、比較的大きな壁の崩落が3カ所で確認された。「11連アーチがつながって見られるのも今年が最後」と言われて久しいが、いよいよ「その時」が訪れるのか”
https://www.asahi.com/?iref=pc_gnavi
※2^ 【ひがし大雪自然ガイドセンター】
アーチ橋見学ツアー以外にも、公魚釣り体験などの様々なツアーを行っている。
http://www.guidecentre.jp/pg169.html